完全敗北・・・

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完全な敗北・・・。

ノーフィッシュだった。

けれど心は満足だった。


週末の仕事終わり、

次の日に同居人との約束を控えた土曜の夜。

短時間だけと、車を走らせた。

雲行きは怪しく、

天気予報は崩れる方向に道を指す。

本降りになる前に終えよう・・・。

呟く様に自分に言い聞かせる。

まずは実績のあるポイントへ入る。

アナカリスの茂る傍を通したり、

ポケットでネチネチと首を振らせる。

浅いせいか魚が着いた事が判り、

ここぞと言う場所でバイトに至る。

小さな個体ばかりなのか、

私が下手なのか、

バレてばかり、

食いが浅いのも原因だけれど、

自分の下手さに笑いが出そうになる。

ポイントを変えれば反応は無くなり、

他の実績ポイントでも一つ二つバイトがあるのみで、

竿を振る手も重くなり、

さらに小雨も降り始めた。

本降りになる前に新規開拓を・・・と、

地図を睨んで気になっていたポイントへと進む、

次第に強くなる雨足、

ワイパーの動きも早くなる。

幾つかの新規開拓狙いのポイントを周り、

期待と落胆を繰り返す中、

気にも留めなかった通りすがりの水路が目に入った、

不法投棄されたゴミが沈む水路、

それでも気になりルアーを投げ入れた、

反応があった、

それも一回や二回じゃない、

強くなって行く雨の中で、

ずぶ濡れになりながら竿を振る。

魚は釣れない、

出るだけで楽しく止まらない、

気が付けば本降りなど通り越し、

タイムリミットまで遊んでいた。

二桁に達するバイトを貰ったのに、

獲れた魚は零・・・。

それでも心には悔しさは無く、

清々しい気持ちで遠くの街明かりに別れを告げる。


見知らぬ街で、

見知らぬ人が暮らし、

営みを続け生きている。

交差点のない彼等と私。

彼等の街の中に居る私。

纏まらない、

不思議な思いと共に、

私は眠気と帰途に着いた。
by benisuiren | 2015-11-12 01:15 | 釣り
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